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アーモンドの木

私はスペインに渡って、アンダルシア地方に色濃く残るアラブのデザインや色使いにすごく影響を受けていた。マラガもアラブの面影や文化が街中にあふれている。

街の中によくある「teteria」(テテリアといってお茶がメインの喫茶店)はアラブそのもの。店の雰囲気や音楽、香りもアラブそのものだ。

私がお気に入りでよく飲んでいたお茶は「te marroqui」(モロッコのお茶)。グリーンティにミントの葉がたっぷり入って甘いお茶。ちょっと甘すぎるかな・・・って感じだけど、ミントの香りがお茶にぴったり合って、その甘さもなんだかほっとする味わいなのです。それは、スペインという異国でいつもピーンと張り詰めている緊張がほんのちょっとほぐれる貴重な空間で味わいだった。

日本人であるからか、お茶屋さんテテリアで過ごす時間はすごくほっとできる時間だった。薄暗くろうそくの明かりだけのすごく奥まった店の中は、日本と通じるものを感じていた。アラブと日本、やっぱり東洋とイスラムは文化で繋がっているのかな。

私が作品でやりたかったのは、アラブのタラセア(寄席木細工)のデザインを天板全面に施すこと。でもペイントはラモンの言葉でやらないことに。じゃ・・・どうする・・・?ってラモンと話し合うと、彼はアーモンドの木を私に見せてくれた。

アーモンドの木はアンダルシアにはたくさんあるおなじみの木らしい。私は初めて見た。クリーム色のすごく美しい木。ラモンが譲ってくれた胡桃の木のダークな木肌にすごくぴったりとくる。でもその木をどうするんだ?

良く分かっていない私に、ラモンは

「タラセアのデザインを天体全面に彫りこんで、そこにこのアーモンドの木を埋め込んで模様を作っていくんだ!」

全面を掘り込む!!!!

想像しただけでもすごく大変って事は十二分に分かった。堅い木を1センチ幅でアラブ模様に掘り込んでいく。すごく手の込んだデザイン画を仕上げていたので、その作業量は・・・・。そこに1センチ幅にきったアーモンドの木を埋め込んで、固めて、表面サンダーかけて・・・と、山のような作業量だ。コースが終了するまでに完成できるのかさえちょっと不安になる内容だった。

でも私は俄然やる気になった。

「やりたい!それでやる!!」

ラモンにそう答えると、彼は「がんばれ」と一言。それからアーモンドの木を1センチに切ってくれて手渡してくれた。

それから数ヶ月、私はただひたすら掘り込む作業を続けた。いつもより早く工房に行き、本科の生徒さんたちにまぎれて、隅で作業することも。そんな私を本科の学生さんも応援してくれて色々アドバイスをしてくれた。あったかい人たちに支えられて、私の最後の作品は無事完成!

002

小さなサイドテーブル。日本に送ることを考えて、サイズは小さめに。足は取り外せるデザインに。

001 天板のデザインはこんな感じ。

クリーム色はアーモンドの木。このデザインはアラブの伝統的なものの一つ。よく見ると、すごく幾何学的なのです。

これを作り終えて、私は美術学校の1年間のコースを終了した。

教官ラモンや同じコースの仲間たちに本当に大切なことをいっぱい教えてもらった。ラモンにとっては、初めての東洋人の教え子だったらしい。

作品を作り終えて、コース最後の日、初めてラモンが私の頑張りをほめてくれた。私はラモンに素材を生かす・素材を見ることの大切さを教えてもらった。ありがとう。

感謝。

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